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理事長ご挨拶

日本保険学会は、日本の社会科学系学術研究学会の中でも、最も古い歴史と伝統を誇る学会の一つです。研究対象である保険は、その仕組みを交易が盛んであった古代オリエント時代にまで遡るとも言われています。その後、冒険貸借から、海上保険へ発展し、火災保険が考案され、さらに、生命保険や自動車保険等々さまざまな保険が開発されています。わが国においては、1867年(慶応3年)、福沢諭吉が著した著書『西洋旅案内』の中で「災難請合」として保険が初めて紹介されたことはつとに知られ、1879年(明治12年)にわが国で初めての保険会社が設立されました。その後、本会の前身である「保険学会」が1895年(明治27年)に、本会は1940年(昭和15年)に設立され、2025年(令和7年)に前身の「保険学会」設立から創立130年を、本会設立から80周年を迎え、発展して参りました。現在、約200名の研究者と約500名の実務家の合計約700名の普通会員と、90社の賛助会員を擁しております。

本会は、保険に関する研究と保険研究者相互の協力を促進し、かつ、国内外の関係学会、関係団体との連絡および交流を図ることを目的とする学術団体です。この目的を達成するため、主に以下の3つの活動を行っております。

 第1が、毎年10月に開催する大会と関東部会、関西部会及び九州部会の各部会において開催する例会です。法律分野及び経済商学分野の研究者会員と実務家会員が時には分野横断的に保険に係わる課題について議論を行っています。

 第2が、機関誌『保険学雑誌』の発行です。本誌「保険学雑誌」の歴史も古く、上記「保険学会」が1895年から発行を開始した「月刊保険雑誌」をルーツとしており、2025年は記念すべき雑誌創刊130周年の年に当たります。本誌「保険学雑誌」には、レフェリー制(査読制)が導入され、高水準の研究成果を掲載するように努めております。

 第3が、海外交流の一層の進展です。また、AIDA(世界保険法学会)とAPRIA(アジア太平洋リスク保険学会)へ理事を派遣し国際的交流を深めています。年次大会における本会会員による報告数をさらに増やすように努めております。今後は、若手研究者の海外の学会における報告や海外の学術雑誌への投稿などを後押しし、より多様な学会等との学術交流を深め、本会の国際的な地位のさらなる引き上げを目指していきます。

このような活動を地道に継続していくことによって、本会における学問的水準が世界的な評価につながっていくものと理解しています。

今後も、本会の活動を展開してゆく中で、保険実務家の方々とも学問的な関心を共有しながら、時機に応じたテーマを積極的に取り上げて、学会のさらなる発展に向けて努力する所存です。是非とも、本会に多くの方々が加入していただき、保険学の発展のためにご支援とご協力賜りますようお願いいたします。

理事長 肥塚肇雄(早稲田大学法学学術院教授)