保険学雑誌 第589号 2005年(平成17年)6月

敵対的企業買収防衛策を巡る法的議論と生命保険会社

―主要株主規制との交錯を中心に―

村田 敏一

■アブストラクト

 近時,わが国でも敵対的企業買収防衛策の法的あり方に関する議論が盛行している。その背景には会社法の累次にわたる改正,柔軟化や株式持合の減少傾向等があるものとされる。本稿では議論の中核をなす日本版ライツ・プランに関し一般的検討を加えるとともに生命保険会社が立ちえる3つの立場(買収者,被買収者,投資家)に即し保険業法,独占禁止法も踏まえた法的論点の抽出を行う。特に,保険業法に根拠を有するいわゆる「主要株主規制」については,契約者等保護上の重要ルールとして保険会社への敵対的買収の局面では証券取引法上の公開買付け規制や議決権行使勧誘(委任状合戦)との交錯が課題として浮上する。本稿では,「主要株主規制」の強化の観点から保険持株会社や新株予約権の取り扱いに関連し,若干の立法論的提言を行うこととしたい。

■キーワード

 敵対的企業買収防衛策,日本版ライツ・プラン,主要株主規制

■本 文

『保険学雑誌』第589号 2005年(平成17年)6月, pp. 76 − 95